三つの愛の変奏曲 の感想文&妄想文(笑)

今回の「三つの愛の協奏曲」は、先月発売された「誰がためにミューズは微笑む」に引き続いて発行された外伝集なので、内容もそれに沿ったものになっています。



中身は4篇。



「恋人を悪漢からまもる十一の方法」

 圭の視線から見た恋人に対する心配りという名のピントの外れた世話焼き。
 いろいろなシチュエーションにおける点描となっています。
 ちょっとどころじゃなく、変人度の高い話(笑)

ちょっと好きになれない話も入っています。

「迷惑レター対策」は、信書の秘密保持の問題もあり、勝手に開けていいものか?と思います。
悠季に断ってやっているということも考えられますが、この場合は勝手にやっているとしか思えないですねぇ。

「人質救出」では、以前、他にも書いたことですが、ウィーンの悪友たちとの会話で、圭にとってキスやペッティングは浮気のうちに入っていないらしいんですが・・・・・どうもそれは違うだろうと思うんですよ。
スネに傷があるのを深く反省しているのなら、今更傷を付け続けなきゃいいのにと思っているんですが。悠季にこれがバレればまた一騒動起こりますよ。分かってるの、圭?

過去の事件と違って現在進行形なんですから、こちらの方が許してもらえる確率が低いと思われ・・・・・。

圭にお説教をしたい気分。あ、そうなると、作者さまにかな?(笑)
 
 

「三悪人・五暇人」

 モーツァルトを舞台にした、悠季と圭の仲がフジミの大人組にバレちゃった話。

タイトルを先に考えていたせいでしょうか。どうもハマリが悪いように思います。
人数で考えると、トランペットの女性が三悪人?でも別に悪事を企んでいたわけじゃないし。
五暇人の方は大人組の斉田さんたちですよね?彼らは暇人というより大きなお世話をやっていたわけですし、昔「「退団勧告」の時の鈴木ヨシ子さんを彷彿とさせました。ただ、(退団勧告のときと違って男性陣であるからかも?)悪役にはならず、パパラッチに救われた形になっています。

ニコちゃんが悠季と圭を擁護してくれるのはある程度推測がつきましたが、トンちゃんが問答無用で(笑)ゲイの仲を分かれさせようという企みから退場して行ったのはかっこよかったです。勢いに押されて、ニコちゃんもイッちゃんたちに宣言したわけですし。
まあ、イッちゃんたちもニコちゃんの強硬な反対で鼻白んでしまい、ことが重大だと知って話を引っ込ませるきっかけが欲しくなったのかもしれません。



「真紅の翼」

 「黄金の翼」のタイトルモジリでしょうか?
 ブリリアントオケの第一回公演のマチネー周辺の話。
 圭から見たコンマス悠季の頼もしいオヤカタ姿と、堂々と朝帰りして恋人だと開き直った悠季への驚き。

このあたり、本編で悠季にもう少し細かく心境の変化を語って欲しいです。

圭が驚いたほど自信を持って行動し、ゲイであることにまるで引け目を感じていないような姿を見せてくれました。オヤカタかっこいい〜!(笑)
ミスカの編曲の話やスカーレット・ムーブの活動についても書かれていて、次の新刊に繋がっているんでしょうね。

実は、この話でなし崩しにからだの関係、つまり濃厚なセックスで仲直りしてラブラブに戻るんじゃないかと危惧してました。(苦笑)

家出やら圭に対してエクボもアバタになっていた悠季が、問題となった圭の過去に対して何のこだわりもなく元通りになっているわけではないようで、少しひきずっているような感じが逆に納得できました。

そんなに簡単に水に流せる話ではないでしょうし。



「三つの愛の変奏曲」

 燦子様サイドの話。マチネー公演でのモノローグや富士見の家での圭からの相談に初めて応えて親子仲直り。

燦子様が意外に内気だったことが新鮮でした。考えてみれば、今まで出てきたいかにもいかめしく見えた女家長の姿は、圭の視線だったんですね。

MHKホールで見せていた貫禄ある姿と、終演後の楽屋見舞いに行くかどうか迷っている姿とがギャップがあって面白かったです。

圭に相談を持ちかけられて、有頂天になる姿や、圭を息子と呼ぶことが出来るようになった嬉しさで舞い上がって、悠季が家出しているのを知るとすぐに、ヨメ(爆)に説教しようとしている姿がなんとも母性の愚かさと愛しさをを感じさせましたね。
きっとこのあたりで嫁姑みたいだと非難する人もいるんじゃないかと思いますが、私は同世代(汗)のせいか、素直にカワイイ〜!と思ったんですがね。

厳しくてとっつきの悪い女性というだけではなく、娘にくすぐられて(笑)機嫌を直すところなど普通の女性なんだなぁとしみじみ思いました。

彼女はこれから人生を謳歌しようとしているわけで、手始めに料理を習っているらしく、日曜日の朝食で試練が続くらしい(笑)胤充氏は気の毒ではありますが。

初めて作ったサラダが水浸しなのは親子揃ってというところですかね(笑)


ところで、マドリスト様たちの中で問題になっているらしい(笑)伊沢邸の食堂ですが、この話の中で、圭がはっきりと「食堂はない」と言ってますね。

私としては、伊沢邸に引っ越すに当たってかなり改修をしているようなので、音楽室、食堂、台所の三部屋が並んでいたのを間仕切りを壊して二つの部屋にしたのではないかと思っていました。
(あまり期間に余裕がなかったようなので、出来たかどうかは疑問ですが)

どうなんでしょうね?最初から食堂がないのか、現在はなくなっているのか?

音楽室にはレコードやCD類がたくさんあるわけですし、フルコンサートタイプのグランドピアノまで入ってきたわけですから、大きさはいくらあってもいいわけで。

音楽室の大きさもちょっと「えっ!?」と思いました。
およそ10畳の大きさでは、小さくない?思ったわけです。

グランドピアノと言えば場所をとります。たぶん畳2畳分以上は必要だと思います。その上ソファーセットが置いてあるんですよね。

ソファーについては、悠季が横になれるサイズですから、少なくとも三人掛けのものが一つあるはず。一人用とかテーブルの記述がない(と思う)のでソファーが一つだけだと考えても1畳分は必要。

なので、もっと大きい部屋なのだと思い込んでました。


今後は悠季のコンサート活動があるのかとか、アンサンブルについて何か考えているみたいだとか、スカーレット・ムーブがどうなったのかとか。

とりあえず、次回の新刊への伏線は仕込んであるようですし、楽しみが続きますね。

2008.8/5 up

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